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金利上昇のいまこそ「不動産投資」を始めるべき納得の理由
長きに渡る金融緩和政策が徐々に解除に向かい、金利上昇が現実になろうとしています。さらに物価高騰は続き、不動産投資に二の足を踏んでいる人も多いようです。そんななか「いまこそ不動産投資の始め時だ」とする声もよく聞きます。その理由とは? 不動産エコノミストとして活躍する吉崎誠二氏が解説します。【監修:幻冬舎ゴールドオンライン】
[掲載開始日:2024年7月11日]
「金利政策」に方向転換…今後の行方は?
2024年3月、日本銀行は金融緩和の修正を決めました。この政策は遡ること11年前、2013年3月に黒田東彦氏が日銀総裁に就任し、5月には「大規模な金融緩和」への流れに舵を切りました。
とはいえ、誘導政策はそれ以前から敷かれていました。2008年のリーマンショックを受け、不動産価格が下落していたからです。価格だけでなく金利も低下すれば、購入を検討しやすくなるのは当然。マイホーム獲得はもちろん、資産運用を目的とする人たちからのお金が集まり、市場は活気を帯びるようになりました。
しかし2015年の秋ごろ、若干の停滞が見られるようになったため、翌年には「異次元緩和」と呼ばれたマイナス金利政策をスタートさせました。コロナ禍でも継続されましたが、2024年を迎え、ついに解除の動きが出たわけです。
資本主義社会は本来、一定の金利があることにより支えられ成立しているものです。利率を決めるのは国や日銀ですが、独善というわけではなく、市場の動きを鑑みながら決定しています。「金利をマイナスまで引き下げますから、不動産や設備投資にお金を回してください」という「お得なセール期間」が終わったのは、景気がある程度回復した証拠です。「物価が上がってきたからそれなりの金利にしよう」という現況にあります。
インフレ率は現在、2%台ですから、自然利子率(0.5%程度と推計)とインフレ率見通しを足せば、政策金利は今後、2.5%ぐらいまで上昇していく可能性があります。もちろん急上昇は経済活性に水を差すこととなりますので、2026年ごろまでを目途に緩やかに上昇していくのではないでしょうか。
金利上昇時代における
「不動産投資」の考え方
現在、人々が口にするのは「物価高」と「円安」。メディアもそれらのトピックを繰り返し報道しています。このため「景気が回復した」という実感を得られない人も多いでしょう。しかし物価上昇を不動産投資に置き換えれば「収入である賃料の上昇」と「管理費など経費の上昇」となります。オーナーにとっては賃料上昇が上回れば、収入増につながる好材料となりえます。
円安についても、同じことがいえます。小麦や油の価格が跳ね上がり「個人経営のパン店が相次いで閉店」などという暗い内容が伝えられますが、「トヨタの2024年3月期連結決算は、過去最高の5兆円超え」といったニュースも見逃してはなりません。グローバル企業にとって、円安は好材料になっています。
このように金利や為替といった金融環境の変化にはマイナス面もあれば、プラス面もあります。投資を考える際は金利上昇ムードに委縮するだけでなく、大局的に状況を見極めていくことが大切です。
金利上昇、人口減少…「不動産投資」への影響は?
不動産投資を考える際、金利上昇のほかに「人口減少が気になる」という方もいらっしゃいます。確かに国内の総人口は2011年以来、毎年数十万人単位で減少。同時に大都市部では率で見れば改善傾向にある「空き家問題」も、実数としては増えていますので「不動産投資はもう危ないのではないか」という思考に繋がるのでしょう。
しかし投資に臨む場合、「供給が需要を上回らなければ不動産価値は落ちない」という基本原則を忘れてはなりません。注目すべきなのは人口でなく世帯数。2020年の国勢調査によると、国内の世帯数は約4.900万世帯に上り、1995年の調査結果に比べ約500万世帯増加していました。特に流入が多い一都三県の世帯数は2030年ごろまで増加し続けると考えられています。
また北海道を例に挙げると、過疎地が増えローカル線は廃止になっていく一方、人口は大都市・札幌に人口が集中。同様の現象は、地方各地で見られます。高齢化社会を迎え、増加する単身層は不便な過疎地でなく都心に居を求めます。人口の地域格差は今後も広がっていくに違いありません。
このように都心の不動産はこれから先も高い価値を維持し続けるでしょう。何より重要なのは立地。いつの時代も「利便性の高い都心部の物件」への投資は、不動産投資の鉄則であることに変わりはないのです。
不動産投資のメリット・デメリット…
「不動産小口化商品」という選択肢
不動産投資は、「少ない自己資金でより大きな利益を得る=少ない自己資金と銀行からの融資によって、大きな投資効果を得られる」というメリットがありますが、ローンに抵抗のある人にとってはハードルの高い資産運用法といえるでしょう。
これらの懸念を払拭できる手法のひとつが、特定の不動産を一口数万円から100万円程度に小口化して販売し、不動産の賃料収入や売却益を投資額に応じて出資者に分配する「不動産小口化商品」です。
不動産経営における管理の手間がかからず、分散投資も可能というメリットもあります。一等地に建ち、数十億円の不動産のオーナーになることも「不動産小口化商品」であれば可能です。もちろん株式などの市場で取引される金融商品と比較すると流動性が低く、実物不動産に比べて利回りが低い例もあるなどのデメリットがあることも考慮しなければなりません。
日本人は長らく、預貯金や有価証券などの金融資産と不動産を組み合わせて資産を構築していきました。金利が上昇する局面であっても、不動産を資産に組み込むことを諦める必要はありません。「不動産小口化商品」を検討するなどして、複数の資産を組み合わせて分散投資を行う……資産運用の基本は、これからも変わりません。